公開: 2026年3月24日
更新: 2026年3月24日
2009年8月28日、米国カリフォルニア州の高速道路で、日本車が急加速して暴走、4人が死亡する事故が発生した。その事故調査に当たったNHTSA(国家交通安全局)は、報告書を発表し、運転席の床に敷かれていた分厚いフロアマットにアクセルペダルが引っ掛かり、ペダルが踏み込まれた状態から、元の状態に戻らなかったことが原因であったとした。被害者は、自分の所有する自動車を、整備のために地元の販売店に預け、代車を借りて運転していたことも分かった。
この報告に対して、一部の利用者から、当該メーカの一部の自動車には、2000年頃からアクセルペダルの動きをセンサで検知し、その情報に基づいて、エンジンに燃料を送り込む量を計算して噴射量を決めるプログラムが搭載されている小型コンピュータが使われているとの情報がもたらされた。ユーザの中には、以前から、そのプログラムの誤りと思われる動作で、自動車が急加速する事象が経験されていることが報道され、大規模な訴訟問題に拡大した。
米国政府は、この問題を解決するため、当該メーカにそのプログラムと、事故時におけるプログラムの動作記録とを開示するように要求した。これらの資料を航空宇宙局(NASA)の研究者に渡し、詳細な解析を行うこととなった。しかし、当該メーカは、プログラム記述の開示をせず、また、プログラムの動作記録データも、企業独自の方法で記録されているとの理由から、企業内でそのデータを処理して、解析者に渡すこととした。NASAの担当者は、当該メーカの設計者から得た情報に基づいて、シミュレータ・プログラムを作成し、そのシミュレータに記録から得られたとされる入力データを投入し、プログラムの動作に問題がなかったことを確認した。その長時間にわたる分析の結果、プログラムには、「重大な問題はなかった」と言う結論になった。このことは、急加速問題の原因は、運転者の操作ミスであったことを示唆しているとされた。
ただ、プログラムの記述そのものが開示されなかったこと、記録されていたデータがそのまま提供されたわけでなかったことから、一部には、プログラムに問題がなかったと言う公式な発表に対しては、疑念の声が寄せられていた。このような世論の圧力に対し、当該メーカは、2010年9月、訴訟を提訴したユーザとの間で、示談を取りまとめ、事態の収束を図った。
従来のように、機械部品として提供されている部品であれば、当該部品を検査場に持ち込み、動作実験を繰り返せば、当該部品に事故の原因がある場合、その問題を特定するための詳細な解析を行い、その原因を突き止めることができる。しかし、部品の重要な機能がプログラムによって実現されている場合には、そのプログラムが動作した状況を、全ての記憶域のデータを復元しない限り、問題の原因は、特定することが難しい。それは、プログラムに非決定性と言う問題が内在するからである。
wikipedia, 「トヨタ自動車の大規模リコール」